放射線安全管理部    アイソトープ基盤研究部門

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論文紹介 ~坂口綾先生



   Vol.1 謎の「黒い物質」


 基盤研究部門の坂口綾先生にお話を伺いました。

論文の背景について教えて下さい。


sakaguchi 東日本大震災による津波の影響で、福島第一原子力発電所から大量の放射性核種が環境中に放出されました。これら放射性核種のうち、セシウムの放射性同位体であるセシウム(Cs)-134,137に関しては、環境への放出量、環境中での分布や同位体組成について明らかになりつつあるものの、その他の放射性核種については殆ど調査・研究が行われていないのが現状です。特に、原子炉の燃料およびその燃焼で生成されるアクチニド元素のウラン(U)やプルトニウム(Pu)に関しては、測定前の化学分離の煩雑さや高度な測定技術、そして測定に必要となるスパイクの添加の厳しい規制により、精密かつまとまった試料数の測定はとても困難です。
 この研究は、福島県内外で発見されメディア等で話題になった高線量の「黒い物質」に着目し、それらに含まれるUやPu同位体組成を明らかにすることで、今回の事故で環境中に放出したであろうUやPuの定量を試みました。

「黒い物質」はどんなことろにあるのですか?


sakaguchi_pic3
 顕微鏡観察では藻類などと言われていますが、主に道路粉塵や最表層の土壌などが路肩に集まった物です。

具体的にどのように調べたのですか?


sakaguchi_pic2 「黒い物質」はケイ酸塩鉱物が多い土壌と比較して酸分解が容易なマトリクスで構成されていて、高放射能濃度(数百万~数千万Bq/kgの137Csを含む)であることから、試料の化学処理や測定の際により簡便に得たい情報が得られます。この黒い物質はγ線スペクトロメトリーによりセシウム同位体を定量後、硝酸で煮沸抽出またはフッ酸を含む混酸で分解し、しかるべき化学分離後αスペクトロメトリー、加速器質量分析(AMS)および誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)でPuおよびU同位体比を定量しました。

どのような結果が得られましたか?


 黒い物質中の137Cs、137Csはそれぞれ426-11,410, 582-17,670 kBq/kgであり、非常に高濃度でした。239,240Pu濃度は0.15-1.14 Bq/kgであり、236U濃度は0.28-6.47 x10-4 Bq/kgと、放射能強度としては低い値を示しました。しかし、238Pu/239,240Puおよび236U/239,240Pu比は、1960年代に全世界的に降下したグローバルフォールアウトの値とは異なり、西原ら(2012)により報告されている福島第一原子力発電所原子炉内のアクチニド組成比に類似していました。従って、今回黒い物質中で検出したアクチニドは原子炉から放出されたものが主であると考えられます。黒い物質の分析で得た137Cs/236U, 137Cs/239,240Pu比と、福島第一原子力発電所からの放射性物質漏えいにより環境中に放出した137Cs量 (1.5×1016 Bq; METI 2011)、そして原子炉内のアクチニド平均組成(西原ら, 2012)より、環境中に放出したUおよびPu同位体はそれぞれ150g, 580mgと見積もられました。


Sakaguchi, A., Steier, P., Takahashi, Y. and Yamamoto, M. (2014) : Isotopic compositions of 236U and Pu isotopes in “Black Substances” collected from roadsides in Fukushima Prefecture: fallout from the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident, Environ. Sci. & Tech48, 3691-3697, DOI:10.1021/es405294s.



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