研究概要




■領域代表者
恩田裕一: A03-5代表 (筑波大学・水文地形学)

総括班は全計画研究班の代表とデータベースワーキンググループと分析チームの各リーダーからなり、本研究領域内の計画研究や公募研究の有機的なつながりを強め、効率的に領域研究が進むことを支援する。
本研究領域は、地球環境科学の諸分野に加え放射化学と広い範囲を扱うことから、8つの計画研究班と複数の公募研究を有機的に連携させ、能力の高い個々の研究者間の相互啓発を促して、独創的な研究成果が上がるような体制を構築し、常に配慮を怠らないことが、総括班に求められる。
また、各計画研究班が他のすべての計画研究・公募研究課題と密接に連携しながら研究を進めることができるように、支援活動や研究会を統括する。
我々は、新しい研究領域を創成していく中心であるから、複眼的視点を持ち、異分野の研究者とともに積極的に意見交換のできる若手の育成に努める。
―計画研究(1)(2) 

■研究代表者
中島映至: A01-1代表 (宇宙航空研究開発機構・第一衛星利用ミッション本部地球観測研究センター)
五十嵐康人: A01-2代表 (気象研究所・大気エアロゾル学)

・領域スケールから全球スケールでの放射性物質の大気輸送モデリングにより、大気輸送・沈着・拡散過程の理解と再現を複数のモデルを用いて行う。それによって陸面と海洋への沈着量の推定を行う。

・事故直後から研究実施期間までの大気放射性物質(大気エアロゾル)の収集および分析により、そこに含まれる放射性物質の種類、放射性核種の濃度の時間・空間的変動調査を行い、放射性物質の沈着過程を明らかにする。

・土壌・生態系に沈着した放射性物質の再飛散課程の理解・再現から、大気陸域間の放射性核種の移行に関する相互作用のモデル化を行う。

―計画研究(3)(4) 

■研究代表者
山田正俊: A02-3代表 (弘前大学・海洋学)
神田穣太: A02-4代表 (東京海洋大学・海洋生物学)

・日本沿岸および北太平洋地域において海水、海洋堆積物および海洋生物を採集し、それらの放射性物質の分布状況を把握し、分布の要因を考察する。

・海洋および海洋底の放射性核種については、その物理過程を細密に調査し、モデル化を図る一方、海洋生物中の放射性物質の濃縮過程を調査し、今後の移行過程の予測に寄与する。

―計画研究(5)(6)

■研究代表者
恩田裕一: A03-5代表 (筑波大学・水文地形学)
竹中千里: A03-6代表 (名古屋大学・森林環境学)

・計画避難区域内外広域の地域において、土壌・植生より地下水・河川・河川生態系へ水・土壌とともに移動する放射性核種の観測、将来予測を行う。

・土壌・植生に蓄積した放射性核種量・蓄積形態の理解に基づき、GISデータ・気象データを併用して、事故発生時の放射性核種の降下沈着(フォールアウト)量を推定し、モデル初期データ・検証データとする。

・森林に沈着した放射性セシウムの森林生態系内での定常的循環および生態系外への拡散について、その循環過程モデルの構築とメカニズムの解明を行う。

―計画研究(7)(8)

■研究代表者
山本政儀: A04-7代表 (金沢大学・環境放射能学)
篠原 厚: 分析チームリーダーを兼務,A04-8代表 (大阪大学・放射化学)

・既存の装置および新規微量測定技術先端技術を最大限活用することにより、微量の放射性核種を測定する技術を開発するとともに、移行過程における化学形態を解明する。 また、総括班と連携して、研究項目A01-A03における測定の支援を行う。

・福島原発事故による拡散された核種の実態把握を測るとともに、それぞれの核種が移行の過程においてどのような化学形態をとり環境中に移行するかについて、放射性核種の測定・将来予測を行う。 研究項目A01-A03における測定の支援を行う。

B01: 放出時の放射性物質の化学形態の探索・分析・解明に基づく放射性核種沈着プロセスの推定と移行への影響評価
   【A01、A04】(担当:五十嵐康人/気象研究所)

B02: 森林における放射性物質の循環プロセスの解明とモデル化
   【A01、A03、A04】(担当:竹中千里/名古屋大学)

B03: 陸域から河川を通じた海洋への放射性核種移行プロセスの解明とモデル化
   【A02、A03、A04】(担当:恩田裕一/筑波大学)

B04: 環境中の放射性核種の動態と移行状況の把握に基づく地点別の被ばく量算定
   【A01、A02、A03、A04】(担当:鶴田治雄/リモート・センシング技術センター)