2026年度第4回 CRiESセミナーのご案内です。
◆日時:2026年7月14日(火)17:00~18:00
◆場所:オンライン(MS Teams)
◆発表者:井上裕貴(東京大学大気海洋研究所 特任研究員)
◆タイトル:光で同位体を測る ― ラマン分光による炭酸塩の酸素同位体分析
★センター以外の方もご聴講いただけます。
参加を希望される方は maruoka.teruyuki.fu@u.(tsukuba.ac.jp を追加)丸岡 までご連絡ください。
【要旨】
岩石や鉱物、生物硬組織には、その形成環境や物質循環の履歴が記録されている。特に貝殻、耳石、鍾乳石などの炭酸カルシウムの酸素同位体比は、形成時の温度や水環境を復元する指標として広く用いられている。しかし、従来の同位体分析法は空間分解能に制約があり、微細な成長組織や不均質構造に記録された情報を直接読み取ることは容易ではない。
一方でラマン分光法は、レーザー光と物質の相互作用によって生じる分子振動情報を利用する分析法であり、高い空間分解能と非破壊分析を両立できる。さらに、同位体置換による分子の質量の変化は分子振動数にも反映されることから、ラマン分光法を用いた同位体分析の可能性がある。しかし、天然存在度の低い同位体に由来する信号は極めて弱く、高精度な定量分析の実現には多くの課題が残されている。
炭酸塩鉱物であるカルサイトを対象として進めてきたラマン分光による酸素同位体分析法の開発について紹介する。酸素同位体組比の異なる試料を用いた検証により、ラマンスペクトル中の同位体由来のピーク比から酸素同位体比を定量的に評価できることが明らかとなった。また、分析精度や確度の評価結果についても紹介し、ラマン分光法による微小領域同位体分析の可能性について議論する。